道路をナナメに渡ってはいけません

警視庁のサイトには、このように書かれている。

斜め横断は、直角横断に比べ「横断距離が長くなる」、斜めに歩行することで「左から接近する車を確認できない」といった危険性があります。

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotu/point/boushi_point.htm

道路をナナメに渡ってはいけないと、小学校でよく言われていたが、
わずかにナナメであるだけでも駄目だという言い方のときは、心の中で反発していた。
右図で、(3)の線は長いが、
(1)と(2)はほとんど変わらない長さだ。
ちょっとナナメにしても変化しないという感覚は、
確信は持てないながらも、小さい頃から持っていた。


ここからは、実際の安全性と関係ない話になる。
どう渡ればいいか。
wの道路を直角に横断したときの渡り終わった地点をHとする。
Hからlだけ離れた場所へ向けて斜めに横断した場合、
横断距離は\sqrt{w^2 + l^2}、節約した歩行距離はw + l - \sqrt{w^2 + l^2}となる。
事故のリスクや運転者に迷惑をかけるなどの、横断距離に応じたデメリットをU
歩行距離が縮むことによる利得をVで表すことにすると、
V - Uの最大値を求める問題に帰着される。
ここで、UVは狭義単調増加で十分になめらかとしてよい。
lが与えられたとき、V - U = V(w + l - \sqrt{w^2 + l^2}) - U(\sqrt{w^2 + l^2})
l微分すると、次のようになる。
\frac{d}{dl}(V - U) = V'(w + l - \sqrt{w^2 + l^2})\times (1 - \frac{l}{\sqrt{w^2 + l^2}}) + U'(\sqrt{w^2 + l^2})\times \frac{l}{\sqrt{w^2 + l^2}}

V'U'は常に正であり、l = 0のとき1 - \frac{l}{\sqrt{w^2 + l^2}} = 1, \frac{l}{\sqrt{w^2 + l^2}} = 0なので、
V - Ul = 0での傾きは正。
つまり、少なくとも直角横断より優れた斜め横断が存在する。
たとえUが横断距離に対して急速に大きくなるとしても(なめらかなら)。
この感覚はかなり応用が効く。
よくわからなくても、ほんの少しだけずらせば、(少しだけだが)確実によくなるのだ。