世界コンピュータ将棋選手権、一次予選

昨夜は、「もう明日から始まるのか」と思っていた。
1年に一度の楽しみが、来て欲しいような、すぐには来て欲しくないような。
観戦するだけでも、棋力・気力・プログラミング力が高いほど楽しめるから。
http://www.computer-shogi.org/wcsc21/
今回はキャンセルが多く、"Miyako Shogi System"や"大将軍"もそうだし、
Lispの"エデン"なども気になっていたので残念だった。
今回ライブラリとしてBonanzaを使っているのは、"なのは"と"Haskell将棋"。
さて、午前11時よりも少し前に対局が開始された。

対局開始

勝手に今日の名局賞を決めるとすれば、1回戦の「なのは - うさぴょん」だ。
まず、なのはが飛車を成りこまれてしまうが、そこから2枚の角による受けが見事。
うさぴょんは低く構えて攻めの糸口が非常につかみにくい形だったのだが、
なのはは守りに使っていた桂馬を跳ねて手にしてしまう。
最後は長手数の詰みに討ち取った。249手の激闘。見応えがあった。
1回戦「Sunfish - 山田将棋」は、終わってみれば一次予選1位と2位の戦いだった。
歩損でSunfishの攻めが続くかどうかと思っていたが、
あれよあれよと手がつながる。
Sunfishは本当に強い。惚れぼれするような攻めをする。
プロの真似のようにも見えず、柔軟で、構想力のようなものさえ感じさせる。
1回戦「臥龍 - WILDCAT」。△37桂成と捨てる手が強烈。
2回戦「scherzo - 白砂将棋」。scherzoが馬を作って優勢になった。
そこからの棒玉が面白い。完全に入玉できる形を作ってしまった。
でも、scherzoは入玉しようとしない。最後は攻めあぐねた白砂将棋の切れ負け。
4回戦の「人生送りバント失敗 - 臥龍」は、送りバントの名局。
歩の成り捨てが出たが、踏み止まり、堅陣を生かしてきれいに寄せた。
4回戦「さわにゃんRL - メカウーサー将棋」。
さわにゃん優勢になるも、駒を捨て始める。しかし玉が上段に追われて安全に。
ここから、盤の左下(玉はいない)で、何が目的かわからない戦いが始まる。
コンピュータは、将棋は玉を詰ますゲームだということをわかっていない。
7回戦「臥龍 - ym将棋」。21手目▲85歩と取り込まれてym将棋が悪くなった。
ym将棋はモンテカルロ併用ということで面白いかと思っていた。
指し手自体は、対戦したいと思わせるような自然さがあったのだけど。
7回戦「まったりゆうちゃん - WILDCAT」。WILDCATが銀捨てで王手飛車をかける。
後手玉もかなり薄くなったように見えたが、受けがしっかりしている。
WILDCAT勝ち。双方強い戦いは面白い。

各ソフト

scherzoは、相掛かりの▲26歩△84歩▲25歩△85歩▲24歩をやってくる!
これは先手不利とはいえ、確かに必敗というほどではない。
自分の終盤力に自信があれば、こういう作戦も面白い。
Haskell将棋は、稲庭将棋のような戦法をとったり、普通に戦ったりする。
相手にとっては、非常に嫌な存在だったと思う。
うさぴょんは堅実。自分からは隙を見せず、相手の隙は見逃さない。
将棋の作りが非常に勝ちやすい。
隙を見せないことと、隙を見逃さないことは、普通は両立しないと思う。
優勢になってから、入玉宣言を逃したり千日手に甘んじたりしたのはもったいない。

いいときと悪いときの差が大きいソフトは勝てない。
評価関数の力というのは本当に大きい。終盤力は重要、堅い囲いは必要。
「山田将棋 - 人生送りバント失敗」で、Kifu for Javaが▲23角行成と表示していた。
20チーム7回戦で70局、棋譜に目を通すだけで10000回くらいクリックした計算。
今回はちょうど半分のチームが予選通過、3勝3敗1分が境目となった。
明日は、ツツカナとSunfishの戦いが楽しみ。