将棋電王戦FINAL、第3局

前日の夜、対局時間の設定を変えることの可否で盛り上がっていた。「盛り上がった」という表現は不謹慎な気もするが、実際そうだった。結局は設定を変えないことになり、わざと遅刻するという禁術も使われなかった。「本当に遅刻しかねない」などと失礼なツイートをしてしまった(興奮していて、対戦相手の稲葉七段への負担すら考えていなかった)。
ルールについて心残りはあるが、人間には色々なタイプがいるから自分の思いがいつも通るほうがおかしいし、そもそも穴のないルールを作ることは一般人には想像もできないほど難しいのだろう。
さて、何事もなく対局が始まり、戦型は横歩取りへ。先手の稲葉七段は、相掛かりにしようと言って角換わりに、じゃあ角換わりでいいよと言われたのに▲25歩。ここで△32金なら横歩取りにはならないのだが、やねうら王は△34歩。
研究にはまってしまうのではないかと心配したが、実際は変化が多く、今回はその中でも稲葉七段にとって嫌な展開になってしまったようだ。ここまで、プロ棋士が2連勝していたので忘れかけていたが、去年の電王トーナメントで5位以内に入ったソフトに勝つのはめちゃくちゃしんどいのだ。
結果は出なかったが、稲葉七段は時間をかけて準備していた。勝つ可能性も負ける可能性もあったが、たった1回の対局で全てが決まってしまう、そういう厳しい勝負だったと知った。プロは常に厳しい中で戦っているのかもしれないが、電王戦はその一端を感じさせてくれる機会となった。
今回はずっと稲葉七段を応援していた。▲27歩と決めに行ってからは特に。コンピュータの強さが周知されたから。あと、僕がコンピュータの弱さを以前よりは知るようになり、強さより弱さに興味を持っていた。他、気分的なものも大きかったと思う。自分がコンピュータを応援するとは限らない、というのも電王戦の成果だ。
これでプロ棋士の2勝1敗。思ったより戦えている。ひょっとして、これまでプロ棋士はコンピュータ将棋のことを全くわかっていなかったのではないか。もちろん、統計的に何かを言える局数ではないけど。対局数を100倍くらいにはしてほしい。