NHK杯 千田翔太・中村亮介(5/3放送)

今年度は、これまでNHK杯を見ていなかった(決勝の行方森内までは見た)。選手権1日目に会場で、今日(5/3)この放送があると知った。さすがに見たいと思った。
今日(5/18)、やっと録画を見た。面白かった。振り飛車党相手に飛車先を決めてノーマル向かい飛車という戦型。端を突き合い、▲48銀も上がってないのに▲36歩!自然そうに見える△42銀にも▲35歩!△同歩には▲95歩(!)として、端で一歩を得れば▲34歩で角が死ぬ(▲48銀としていないので角を切ることもできない)。
銀のサポートなしに成立するわけがないと思っていた▲35歩が、プロの実戦で現れる。観戦していてこんなに楽しいことはない。
と思っていたら中盤以降も驚きが多く面白い将棋だった。端は大きいものの、居飛車がどうやって手を作るのかという状況。▲48銀△24歩の交換を入れてから▲36歩の合わせ!飛車を転回して4筋を狙う。△45歩の反発には▲56飛で、玉しか利いていない5筋を狙う。▲32歩で一手を稼ぎ、端の精算で香を入手してから角交換。
▲55香と打ったが数が足りているわけではないので、(解説でも言われていたが)先手の攻めが細そうだと思っていた。が、ここで竜を切って、そこで得た金を▲41金(!)と、相手玉の遥か後方へ打った。この金は、角取りというより、後手33桂のひもが外れて▲33角成を許すことになるのが何より痛い。
△42金打とがっちり受け、後手陣もしっかりした。ここから数手は一瞬流れが緩む。そして▲65桂。△97香成には▲99香と切り返し、△98香には▲97銀(!)と成香のほうを取った(▲98同香なら△同成香で、△97香成を△98香成にやり直す権利を与える)。
▲75角△96竜を入れて、▲54桂!△同銀に▲44馬と引いて、後手は53の地点の数が足りず受からない。2枚の金を詰めろで奪い、形勢が大きく傾いた。
プロの将棋をまともに観戦するのも久しぶりだったので、将棋の可能性の広さが改めてわかってよかった。楽しんだ。