Lee Sedol vs AlphaGo

終わった。コンピュータ将棋に全く触(ふ)れない1週間だった。その一方で、GTP(Go Text Protocol)対応の囲碁AI(マネ碁するだけで思考部は何も書いていない)を作ったりもした。囲碁エストで13路デビューもした(レーティングは1000行かない)。本当に大きなイベントだった。
AlphaGoは布石が上手い。しかし、モンテカルロの弱点はそのまま残っているように見えた(たった5局なので、どの程度の棋力があれば弱点を引き出せるのかはわからない)。何にせよ、布石など部分的には人間のトップの力があるようなので、(盤上で新しい価値観が生まれたという意味で)とても嬉しい。
アマ高段者が何子か置いて打ったらどうなるかが知りたい。序盤から変な手を打つことがあるのか。置き碁は、第4局でおかしくなったときとは状況が全然違うので、そこまで変なことにはならないと思うが(そもそも従来のソフトでどうなるか知らなかった)。
思考エンジンの仕組みが全然違うとはいえ、強いところ弱いところがコンピュータ将棋に似ているとも感じた。コンピュータ将棋は、高性能な詰将棋エンジンがあっても使いどころが難しく、未来に詰みが絡んでくるような場面ではプロ棋士よりはるかに弱いことがある。AlphaGoも、何手か先の難しい死活(生きるか死ぬかで大違い)に弱点があるようだ(囲碁のことは知らないのでテキトー言ってる)。
人間には理解されにくいけど序盤が強いという点でもコンピュータ将棋と似ている。終盤は正確無比だと誤解される点でも似ている。
ニコ生は大橋六段と一成さんの出ていた回がすごく面白かった。通常の解説だと、囲碁の内容は強い人向け、コンピュータの知識はゼロ、ということが多い。普通の囲碁ファンにとってどうなのかはわからないが、こういう初心者でも楽しめる放送があるのはいいことだと思う。
やはり強い人間と強いコンピュータの戦いはいいものだ。全部で5局が打たれたが、1局毎に空気が変わっていく。1局より3局、3局より5局がよい。今回は本当にトップレベルの戦いだったので、解説が大変そうではあった。
囲碁とは関係ないけど、今回のことで韓国や中国のイメージがよくなった。別にイメージが悪かったわけではないが、そもそもニュースで政治的な話題を見るときくらいしかこれらの国名を聞く機会がない。囲碁棋士囲碁ファンがたくさんいて、この対局に色々なことを思っている。そういうのが少しだけわかって世界が広がった。