NHK杯、佐藤(康)・久保

後手久保のゴキゲン中飛車に、佐藤は流行りの急戦。
△32銀▲78玉となったところで、久保はいきなり△56歩!と開戦。
互いに馬を作り、完全な力将棋に。
▲58金というのが、いかにも変態佐藤という手。
低い陣形の後手に対し、先手がうまく圧殺できるか、という展開。
佐藤はどんどん陣形を盛り上げていく。
それに対し、あくまで低く穴熊に潜り始めるのが、何というか振り飛車らしい。
佐藤は8筋を突き捨ててから、▲37桂〜▲77桂〜▲52金〜▲29飛。
本当に佐藤は何でもやる。面白い。
しかし、後手は金銀3枚に馬が付いた穴熊となり、更に▲36歩とも受けさせ、
後手がかなりよくなってしまったように見えた。
先手は盛り上がっていて気持ちはいいが、やはりこの形は反撃がきつくなる。
久保は△71飛と回り、佐藤は▲68玉と逸れる。
堅すぎる穴熊に、それでも佐藤は▲85銀と攻めかかり、久保は△52金と固める。
と、ここで久保はウッカリしたわけでもないのだろうが、
佐藤は一転、▲23歩成△同歩▲29飛!もはや飛成が受からない。
▲23飛成が実現したとき、久保はジッと△62金左と寄った。
「自爆はしないんですねえ」
去年もそうだった気がするが、解説の中村が実にいい。
派手さはないが、手がよく見えて、歯切れがいい。
佐藤が咳!もうかなりの手数になっている。
ひたすら歩を合わせて銀が前進し、あの堅かった穴熊に対し、攻めが入った。
▲84歩は厳しいが、久保は△42銀と打ってがんばる。
久保の中終盤は、粘っこいイメージがもうすっかり定着した。
そこへ来て妥協のない佐藤の攻め、面白くなるに決まっている。
結果は、攻めきって佐藤の勝ち。
次回はいよいよ藤井先生の登場。