NHK杯、羽生・戸辺

解説は先崎。羽生に対してこういうしゃべり方をする棋士は珍しい。
程度の差こそあれ、みんな羽生を神のように扱う。
渡辺などはそうでもないけど、年下だから相応の敬意は示す。
そこへ行くと先崎は、羽生のことを自分と同じ人間だと思っている。
羽生に戸辺攻めは通らないだろうなあと思いながら見始める。
戸辺が後手で、当然のゴキゲン中飛車。羽生は超速で△44銀型。
羽生が▲37桂〜▲29飛としたところ。戸辺はいきなり△22角と引いた!
まるで矢倉の△24銀みたいだが、これでさすがに▲45桂は行けない。
先手は▲24歩から歩交換するくらいだが、後手は△64歩から盛り上がってくる。
▲29飛と引いたばかりの飛車で歩交換するのも、先手からするとしゃくだ。
羽生は端歩を突くが、戸辺は付き合ってくれない。
そこで羽生は▲45銀とぶつけて仕掛けた。盛り上がりを拒むなら今しかない。
△46歩と取り込む手が入り、これは後手がよさそう。
だが、羽生は▲48金打(!)から粘る。
ここが羽生のすごいところで、先手が並の棋士だったら、
「ああ、今日は戸辺の勝ちか」と思いながらのんびり観戦することになる。
しかし先手は羽生である。「戸辺は容易に勝てない」と思わせる信頼がある。
そして今日の羽生は本当に強かった。
難しい終盤戦、両者の指し手がとても勉強になるというか面白い。
最後はきれいな即詰みで、投了のタイミングもきれいw
ていうか、羽生つええええええええ!!!
感想戦を見ていると、普通の人間なんだけど、人間で羽生だからな。
「人間で羽生」というのは、「神様で中学生」以上のインパクトがある。
最近この感覚を忘れていたけど、久々に「羽生」を堪能した。