王位戦七番勝負第1局2日目

封じ手の▲73歩成から△同銀。
いやあ。振り飛車にとって▲74歩は常に嫌だけど、それをさせて盛り上がるのか。
将棋には色々な手があるものだ。広すぎて絶望しかない。
▲66歩がいい手。陣形がふっくらする。▲65歩は許せないので△64歩。
そして、双方4枚の矢倉。堅い。
ここで藤井が仕掛けた。3筋を突き捨てて△38歩と垂らす。
普通なら▲37桂△39歩成くらいだが、羽生は▲16角とひねった手。
38の歩を取られては勝ち目がないので、△39歩成▲43角成。と金と馬を作り合う。
そして桂を奪ってから△38角と打ち込み、後手も馬を作った。
で、千日手。どっちも打開できなかった。
後手番で千日手を奪った藤井先生さすがと言いたいところだけど、いやあ。
2日かけた戦いがこんなところで終わってしまう。
近年稀に見る、重量感のあるいつまでも続いてほしいような将棋だったのに、
「この将棋の終盤」を見る二度とないチャンスを失ってしまった。
どちらも打開できなくはない感じだったし、対局者も未練が残ったのでは。
2012年7月10日〜7月11日 七番勝負 第1局 羽生善治王位 対 藤井猛九段|第53期王位戦