第2回将棋電王トーナメント(決勝初日)

なんかもう、これでいい気がしてきた。もし再来年に電王戦がないとしたら嫌だけど、コンピュータ同士の将棋に充実したプロの解説が付けばそれで十分面白い。今回のニコ生はかつてないほどしっかり準備されていたし、解説のプロ棋士もコンピュータ将棋に関係のある人選だった。お金をかけてきちんと準備すれば、コンピュータ将棋もコンテンツとして化ける可能性があると思った。

涙が出そうになる

自分がアニメを見て出した涙の量のうち、半分以上が「咲」である。とにかく量が出る。NARUTOの戦闘シーンで出るようなタイプの涙だ。
AWAKEの△36歩の解説を聞いて、そんな感じで涙が出そうになった。めちゃくちゃ強いコンピュータの手を、それとは異質な超人(プロ棋士)が解説している。これも似たタイプの涙だと感じた。

力戦相居飛車

居飛車の力戦ばかりだった。みんな振り飛車を避けている。そして、相掛かり調の将棋で▲78銀と上がったりする。これだけ強い2者がぶつかっているのに、それで悪くならない。
序盤とは何なのか。将棋の可能性というのは、どれだけ広いのか。

先後の差

力戦が多いせいか、もちろん先後の差は大きいのだろうけど、強ければ後手でも勝てるという印象を受けた。後手はほぼ力戦調で来るので、それに対する先手側の対策(先手の利を生かす作戦と、持ち時間節約のための定跡整備)が注目される。
あと、ソフト間の棋力差が思ったよりあるのかなと。去年の電王トーナメントはBonafishでも5位以内のチャンスがあったと思うが、今年はまず無理という感じだ。何かよくわからない強さだ。変な領域に突入している。ワクワクする。

やねうら王が強い

習甦のコビン攻めを受け切ってしまった。信じられない。習甦の評価値が高かったので、角の利きをより正しく評価しているのは習甦だと思っていた。これが間違っていたのか、正しかったけど力でねじ伏せたのか、どちらにしても予想外だ。
この将棋は、256手ルールを意識するような展開になった。途中でやねうら王が開発者と交代して指せば確実に勝っていただろう。また、習甦が開発者と交代した場合は、引き分けに持ち込めた可能性も少しはあるのではないか(実際は金上がったところで代わる手待ちも難しいのかなあ)。そう考えると人間の臨機応変さ加減はすげーなと。

順位予想

ponanza・AWAKE・やねうら王・Selene・Apery
事前に予想したものと比べると、決勝トーナメント初戦敗退の激指が抜けてやねうら王が入っている。運の要素が強いのだが、それにしても激指が上位ソフトに1勝もできないというのは驚いた。

その他

棋譜再生のとき、手を進めてから符号を読み上げると、符号が遅れて聞こえるのが気持ち悪い。普段の大盤だと、符号を言ってから駒を動かすよね。
コンピュータ将棋は、緩急の切り替えが異常すぎる。
コンピュータ将棋同士の対局は、局中感想戦ができる。
常識が通用しない感じの手順が多く、面白い。
「こういうのもソフトの手口なんですよ」プロ棋士のコンピュータに対する感情を表す語彙が充実しつつある。