第2回将棋電王トーナメント(予選)

かなりの期待をしてたけど、期待通りの面白さ。コンピュータ同士の将棋はそれほど面白くないと言われることもあるが、それはプロの解説がなかったときのイメージだろう。番組の構成も、去年の電王トーナメントと比べてよくなっている。

スイス式

参加チーム数が25。奇数だ。奇数のスイス式はどうやるのかと思っていたら、抜け番のソフトは不戦勝になるらしい。「引き分けじゃないんだ」と思ったが、引き分けだとソルコフが計算できない。不戦勝なら、必ず負ける激弱ソフトが追加で参加したのと同じことなので、偶数の場合と比べて悪い方法でないことが納得できるし、自然にソルコフが計算できる。

Aperyの粘り

256手を超えたら引き分けという(この大会の)ルールがある。AWAKEは、代わりに俺が指しても勝てるというレベルの勝勢から、256手引き分けに持ち込まれてしまった。Aperyの糞粘りが奏功した形だ。
別の将棋では、入玉して宣言すればおそらくAperyの勝ちという局面から、256手に到達して引き分け。去年の過激な入玉志向をやめて、引き分けに甘んじた。
気持ちが伝わってくる。「指してるだけ」ではなく「粘り」という言葉が相応しい。

連続王手の千日手

Aperyが、勝勢の局面から連続王手の千日手で勝った。終局図だけ見ると千日手とは思えないが、角の王手に金を中合しているので駒が補充できる。おそらく、この金を取ったら連続王手の千日手または勝ち(要するに勝ち)だと読み切っていたのだろう。こういう手はほんとに好き。

AWAKE強い

2年前くらいからAWAKEに勝てなくなったと言われていた。別に不思議はないが、改めて考えるとすごい。平均的プレイヤーである俺ですら、自分より強いソフトを作れてないというのに、開発者最強のこの人が自分より強いソフトを作ってるんだから。

△96歩と攻めないほうがよい

後手陣が攻め込まれて、やや劣勢という局面。ここで後手は、△96歩と先手の穴熊に手を付けた。悪くなったら過激に攻めるというのは、コンピュータ的には自然だと自分は思った。しかし、解説の遠山五段によると、攻めないほうがよかったという。後手は攻められているので、後手95歩型を生かして粘るほうがよい。
なるほどと思った。確かに△96歩は穴熊の急所を攻めているが、後手陣は既に横からの攻めが来ており、自分から挟撃されに行ったとも言える。こういう解説はありがたい。最近は、ネット将棋を指してコンピュータで検討というのが主な勉強法なので、こういった考え方は知ることができないのだ。

その他

トラブルで、途中まで進んでいる対局も含めて指し直しになった。人間と違って(心情的には嫌だろうけど)公平に再スタートできるのはコンピュータならでは。
個人的に応援していたのがSelene。だもんで、やねうら王が横歩後手でSeleneに勝ったときに、やねうら王の強さを実感した。
激指が振り飛車で負けまくっている。決勝でもこのままの定跡を使うのだろうか。振り飛車がないのは寂しいけど、振り飛車があるのに勝局がないというのもアレだ。
決勝トーナメントDブロックがやばい。習甦と激指の少なくとも片方は5位以内に入れない。一発勝負だからねえ。電王戦出場がかかってるし、賞金も大きい。決勝(1位決定戦)なんて、振り駒の価値が50万円くらいあってもおかしくない。