NHK杯、深浦・渡辺

深浦用意の作戦があり、矢倉になった。
早い▲35歩。すんなり交換させるわけにはいかないので後手は角を出る。
▲18飛とせざるを得ないとわかっていてやるんだねえ。
▲38飛に、低く△33歩が堅そうな手。
デメリットは、銀が端の守りに利かなくなること。
しかし、駒組みが続いて50手目まで来てみると、先手陣はいかにも重い。
後手の角に威張られて、こうも筋通りの端攻めをされては面白くない。
普通は▲91香と打って、後手は角を切って攻めることになるのだが、
ここで深浦は単に▲93歩と謝った。
後手は、端攻めを終えて少しの駒得だけが残り、全く不満なし。
ここで深浦は▲65歩と角を追うが、いきなり△93角成!
ホントに、大人しく引いて何の不満があるのかと思うが、
行けると見たら踏み込むのが渡辺らしい鋭さ。
将棋は優勢にするゲームではない、勝つのが目的なんだと言っているかのよう。
△75歩。この瞬間▲73角とかされたらどうするんだろうと思っていたら、そうなった。
なるほど△81飛で角が狭いのか。
▲45歩と角が成る場所を作るが、そこで△76歩と取り込むのが大きかった。
後手は駒の働きが素晴らしく、7筋の集中砲火が厳しい。
深浦も、1筋に馬・角・飛・香を集中させ、何かあったら許さないという構えだが、
後手玉は1筋にこだわらなければ金銀も利いていて広く、全然足りそうにない。
しかしこの「もう先手は何もできないだろう」という状況から深浦は諦めが悪い!
▲74銀と守り、△62桂の返しにも、▲31銀と嫌らしい場所へ放り込む。
そして、先手玉が詰んでるのに▲43歩成。
確かに、詰みがあっても、実際に詰まなければ問題ない。
最後、森下の解説が実によく楽しませてくれるw
追記。途中かなり時間に差がついたのだが、最後深浦の粘りに対して、
渡辺はちょうど時間を使い切って詰ました。
時間の使い方だけから言えば、理想的だった。