NHK杯、羽生・渡辺

準決勝。このカードだということは知っていたが、改めてすごい迫力。
今回は渡辺が後手。おそらく▲76歩△84歩になるので、楽しみだ。
NHK囲碁と将棋 -NHK杯テレビ将棋トーナメント 棋譜再生-
対局が始まり、やはり二手目△84歩。羽生は矢倉を選択した。
NHK杯では、先手が角換わりに誘導することが少ない気がする。
短い時間で角換わりのようなきわどい将棋はやりたくないのだろうか。
すごい速さで進む。定跡型だ。
▲37銀辺りで気づいたが、これはこの前の竜王戦と同じ進行だ!
2010年10月26・27日 第23期竜王戦 七番勝負第2局
定跡の解説が欲しいと思っていたので、このコメント付き棋譜がありがたい。
63手目に、△64銀と角を取ったところで、竜王戦と別れた。
この辺の指し手は、どうしたって竜王戦を思い出させる。興奮してきた。
▲71角。へー、△72飛くらいでもどうするのかと思ったら、
金を奪って▲44角と構えるのが厳しいのか。先手は桂持ってるし。
渡辺は成銀を引いて、▲44角成〜▲34桂と打たせた。
これでまずいようでも、△12玉と避けてなるほど耐えていそう。
と思ったら羽生は一転▲71馬。うへえ何というタイミング。
飛車取りが甘いかどうかギリギリ、馬がソッポとギリギリ言えない時代。
ここで、てっきり渡辺は攻め合うのかと思ったら、あっさり飛車を逃げた。
渡辺は、受かると見れば受けて勝ちに行くので、さすがだと思ったが、
しかし後手にとって辛い展開が続くことになった。
感想戦で、香で受からないとおかしいと思っていたが、どうも受からない、
という意味のことを言っていた。
渡辺の、こういう共感できる言い回しを高いレベルの将棋でするのが好き。
先手の攻めが切れるかどうかという将棋になった。
後手玉しか見なくていいので、ややつまらない感じ。
せっかく矢倉なんだから、盤全体を使う戦いが見たかった。
今回の将棋は、渡辺の△84飛に対し、羽生の「それでは受からないでしょ」が
通るかどうかだけの戦いになってしまった気がした。
それを担うだけの重みを△84飛に持たせるのはNHK杯では無理だろう。
解説の郷田が、金は一段目と二段目、二段目と三段目で全然違うと力説していた。
羽生が▲33金と引いたのが好手だったようで、バラして一気に後手玉が寄った。
持ち時間を使い切るまでに手数が進んでいて、30秒将棋の時間が短かった。
なので、短手数というわけではないのに時間が余って、感想戦が長い。
この二人の会話が実にいい。
世代も性格も違うけど、同じ高みを目指す一体感がある。