NHK杯、羽生・糸谷

糸谷が後手となったので、予定通りの一手損角換わり。
1.5手遅れている後手から早繰り銀の速攻!
と思ったら、あっさり押し返されてしまった。何だこれ。
模様を悪くしてから飛車を四間に振るのが糸谷なんだよなあ。
先手の玉形は、確かに飛車には弱く、ウッカリすると寄ってしまう。
しかし、羽生がこの厚みを生かせないとは到底思えないし、
厚みを与えた代償を糸谷が得ているようにも見えない。
羽生は▲55銀〜▲66銀と自陣を手厚い構えとし、▲79玉〜▲88玉も非常に大きい手。
それに対し、糸谷の玉は手数をかけても大して堅くならない。
この交換を入れた上で、後手懸念の▲37角が飛んできた。
二枚替えで、と金の位置も先手のほうがいい。というか玉の位置が違いすぎる。
後手には入玉の楽しみもあるように見えたが、
△14角と打たされるハメになって、いよいよ後手が辛(つら)そうになった。
この前の▲31玉がすごい。入玉を止めたいときに下段の金!
これによって△31歩の受けも消している。
結果は、羽生が3年連続の優勝。NHK杯では3年間負けていないことになる。
糸谷は、羽生を相手にしてやはり考え込む場面が多く、
「時間攻め」のように見えてしまう挙動も、今回は見られなかった。
たまに即指しすることはあったけど。
羽生を前にして、どうも「ごまかし切れない」という感じがした。
冒頭に羽生・佐藤の対局を紹介していたが、あの金を捨てて逃げ道を作る手!
ああいう手が実際に表面へ現れるというのは、
羽生が、読みの中で浅くない場所でも捻った手を意識できているということではないか。
出場女流棋士決定戦は、4/2(土)14:4014:20から放送。