NHK杯、北浜・木村

北浜先手なら相掛かり、北浜後手なら振り飛車という予想だった。北浜が先手となって、木村はインタビュー通り相掛かりを受けるのかと思いきや△34歩。「おや?」と思ったが、北浜は横歩を取らずに▲26飛。なるほど、こういう相掛かりもある。代えて▲28飛もあるが、後手に横歩を取る権利を与える。
相腰掛銀となり、後手から銀をぶつけて先手に攻めさせる展開に。香を吊り上げて▲12銀がけっこう厳しい。ただ、△25歩と押さえられて、先手も楽な攻めではない。△84飛もいい味だ。
ここから▲22金と放り込み、▲23歩、▲11角と執拗に数を足して、部分的には受からない*1!木村は△36歩と伸ばして攻めさせる。後から考えれば、このとき既に上部開拓を見ていたのだなあ。
こういう将棋は、解説なしでは形勢が全くわからない。攻めが決まっていれば先手の勝ち、受かっていれば後手の勝ち。ただ、とりあえず受かっていても後手が大幅に駒損していれば局面は先手、でも実戦的に攻めあぐねた先手は勝ちにくいからどうか。とか色々考えて、どれもありそうなのでわからない。
決め手を与えない後手の指し方が、先手北浜を相当疲弊させた。この中段玉を相手にするのは、拷問を受けるのにも等しい。たとえ局面が先手の勝ちだとして、誰が先手を持って楽しく指せるというのだろう。
最後▲56角からの応酬は見応えがあった。なお、△47角に▲48金打と受けたところでは、代えて▲33桂成から後手玉は詰んでいた。

*1:ところで「部分的には受けがない」は、ちゃんと定義できるのかな