王位戦、挑戦者決定戦(▲広瀬△羽生)

先手広瀬五段の四間飛車穴熊、相穴熊*1になった。
序盤、ジリジリと。やはりアナグマ王子の相穴熊も、羽生名人には通用しないのではないか。
最近の羽生名人の勝ちっぷりは、そんなことも感じさせる。
角を質駒にしてから、60手目△54歩。ここで先手は▲同銀と踏み込む。
68手目の局面まで進み、▲38銀と固めてしっかりしている。
後手は先手で(どっちだよ)桂馬を取り、更に△47馬と切るのが好調に見えたが、
△57金があるのに▲同銀と応じ、先手47の銀を差し出して▲55馬!
この辺り、GPS将棋の手が当たり続け、評価値は絶対値100未満で動いていた。
駒の損得が大きく動き始めた後もそうだったのには、凄みを感じた。
そして▲22馬。この瞬間先手は何と金桂損。*2
▲31銀に△55角。さすがに▲42銀成とか金を只取ってる時間はないのだろうなと思って
見ていたが、そこから▲51飛、△36桂!この桂打ちには後で驚いた。
それは、桂打ちに▲55飛成とした局面が先手の勝ちだからだ。
△39銀の詰めろには、▲22銀成から後手玉が詰んでいる。*3
▲33角などという筋もあるようだ。
とにかく、先手玉が詰まない形なのでわかりやすい。*4
これで広瀬五段は、深浦王位への挑戦を決めた。七番勝負第1局は7/13(火)に始まる。
タイトル挑戦により六段へ昇段(ちなみに奪取すれば七段)。
いやー面白かった!
また、改めて一局を振り返ってみると、(観戦中と違い)フツーに広瀬五段の勝ちに見える。
何か自分でもこのくらいの将棋なら指せそうな気がする。
普段プロの将棋を見ていてそんなことを思うことは当然ない(特に横歩取りとか)。
右四間のような単調さ、それゆえの恐ろしく長い一直線の読みの必要性を感じた。
一直線と言ったって変化は膨大なのだから、もう本当にどうなっているのだろう。
七番勝負が楽しみだ。
2010年6月11日 第51期王位戦挑戦者決定戦

*1:Google日本語入力の第一候補は「愛穴熊

*2:局後のインタビューで羽生名人は「▲2二馬と切られて駄目ですね」

*3:Blunderも一瞬で詰ましたが、▲44角という筋だった

*4:局後広瀬五段は「自陣が遠く負けづらい形」