NHK杯、鈴木・郄粼

初手、▲96歩!これは珍しい。悔しいことに、意味がよくわからない。相振り飛車が予想されるところだから、無駄になる手ではない。角道を開け合ったあと、先に相手に行動させたいのだろうか。だからこそ今回、後手はダイレクトに△32飛とできなかったわけだし。角頭歩と比べて、相振り以外の変化を消している意味もあるか。
先手は金無双。△26歩▲同歩△同飛の瞬間が王手にならないので、ここで反撃が利く。一歩を持って、相手の飛車の横利きも消えている。8筋7筋と突き捨てて▲55角!
ここからすさまじい攻防が続く。解説は先崎。手の見え方がヤバい。ちょっと付いていけないところもあったが、すごく面白い解説だった。「受け切れないと銀冠は酷い」「一番いい手と確実な手が違う」。ところで、千日手の話が出たところは連続王手の千日手だったのでは。
最後、先手18香型が祟って即詰みになった。桂の成り捨ては厳しかったけど、それが最後の詰みにまで効いてくるとは。
鈴木は「宇宙流」と書かれた扇子を使っていた。囲碁の人と交流があるらしい。あと、時間内に指せず「馬です」と口で言う場面があった(場所を指で示していればルール上はそれでOK)。以前のNHK杯でもあったのでけっこう危ない人だ。