将棋近況

最近詰将棋をやっていない。もう完全に飽きた。
読みを鍛える方法として詰将棋以上のものは思いつかない。
棋力向上のためには、あまりよくない状況だ。
おそらく、強くなるためには、まず第一に読む力を付ける必要があると思う。
しかし自分が好きなのは、(聞こえのいい言葉を使えば)感覚を磨くことだ。
これで攻めが続く、切れる、寄っている、逃れている、ここが筋、
そういうのが見えるようになりたい、判断できるようになりたい。
ネット将棋も含めて、人間と指すことがあまりない。
コンピュータとは、暇つぶしのような感じでよく指す。
数日〜1ヶ月くらいのスパンで特定のソフトと特定の戦法で指すことが多い。
今は、きのあ将棋を相手にゴキゲン中飛車をやっている。
ここ数ヶ月か1年くらいは、ボナンザメソッド系のソフトとの対戦が嫌になっている。
やたら筋がよくて負けにくい棋風の癖に、自分の知らない大局観を持っていない。
局所的な読みと、心のこもっていない形のよさだけで負かされてしまうため、
よく負けるし、負けて気分が悪いし、勉強になった気もしない。
さて、非ボナンザメソッド系のソフトは、序盤の駒組で明らかな隙を見せる。
もちろん咎め方がすぐわかるわけではないが、その点でこちらが有利だと思えば
何とかそこを論点にして勝ってやろうと思える。やる気が出る。
将棋の序盤というのは恐ろしく難しいもので、定跡書で互角とされる分かれから
戦える気がしない。そんな互角などという繊細な感覚は持っていないので、
局面と自分の感覚や読みの間に断絶を感じてしまう。
なので、何かこちらに主張があり、かつ簡単には勝てない局面を考えたくなる。
Bonanzaを相手に二枚落ちや飛香落ちをやってもいい。
コンピュータは駒落ちに弱いと思うが、それでも実によく粘って、隙を見逃さない。
コンピュータと指す弊害として最大のものは(唯一と言ってもいいと思うが)、
読みを入れずに指す癖が付いてしまうことだと思う。
そうなると、たとえ対人戦でも読めなくなるから、ますます読む力が落ちる。
そんなダメ人間にすら読むことを強制できる詰将棋というものは、
将棋の勉強法として実に素晴らしいものだと思う。
NHK杯は毎週楽しみにしている。たまに、本当に興奮する対局がある。
将棋講座も面白い。今期はわりと高度な内容な気がする。そのほうがいい。
ちょいワル逆転術というのは、邪悪な手段で逆転するのかと思っていたが、
ちょいワルな局面から逆転するということだった。
詰将棋のコーナーがなくなったのは、時間の節約になっていいとさえ思ったが、
これからずっとないのは寂しいし、詰将棋に触れる機会を失うデメリットは大きい。
NHK杯やタイトル戦を観戦し続けたおかげか、かなり色々な戦法を、
そこそこ実用的な強さで指せるようになってきた。
これは自分が目標としていたことでもあり、嬉しく思う。
ベースとなる棋力が低すぎるのは問題だけど。
プロ間で角換わり後手が苦しいせいで、矢倉と相掛かりが減っているのが残念。
戦法が違っても、共有できる感覚というのは多い。
状況によっては、筋っぽい手が見えて、明らかに以前より強くなったと実感できる。
しかし、それはレアケースで、未知のパターンでは弱さを露呈する。本当に酷い。
未知のものを一つずつ潰していくしかないと思っている(明らかに本筋ではないが)。
一部、受けの面白さに目覚めた面もある。
相手の攻めに創意工夫を求めて、自分は単調に切らしにかかる。
逆に有利な局面で難しい勝ち筋を見つけ出すのも好きだし(見つからないけど)、
ウッカリの後にそれでも最善手を求めて考えるのも面白い。
ただ、負けて面白いとか言ってるようじゃいけないとも思う。
将棋で最も重要な才能は、負けを悔しがる、絶対に負けたくないと思うことだろう。
最近、千日手に対する考え方が少し変わってきた。
先手だったり、微差で形勢がいいと思っていたりしても、千日手にしていい。
千日手は、望めばすぐ得られるというものじゃないのだ。
攻め筋も見えないのに無理に攻めて負けたら、無理攻めが敗因と思ってしまう。
相手だけ陣形に発展性があったとか、攻めがあったとか、それを見て負けるべきだ。
攻め筋が見えないのが悩みなら、相手に教えてもらえばいい。
将棋は先手か後手か、どちらかは絶対に負けないことができるはずなのだ。
まあそんなところ。