第3回電王戦の勝敗予想

予想すると言ったので予想するが、やはり本番バージョンの貸し出しがあるので難しい。
去年の習甦は、先手から角交換するという違いがあったものの、それでも練習時と同様に桂を跳ねて、無理攻めを切らされてしまった。ただ、例えば塚田九段は貸し出された(本番よりは古い)プエラαを攻略できたわけではない(入玉という弱点の存在が逆に不幸だったのかもしれないが)。
阿部四段の研究量が異常だったのか、あのときの習甦にたまたま大きい穴があったのか。
―と、これを12/12に書いていたのだが、何かやる気がなくなって今に至る。改めて予想する。
やねうら王とYSSの(今回の条件での)力がよくわからない。強いけれども、他のソフトとは違うクセがあるので、それが悪いほうにハマって負けるかもしれない。
やねうら王の相手はサトシン六段。ネタ要員と思われそうだが、実はかなり強いらしい。ある程度の穴を見つければ、そうそう取りこぼさないだろう。そして、やねうら王は開発期間が短いうえに、新しい工夫も色々盛り込んでいるので、観戦者としては不安もある。もちろん楽しみでもあるんだけど。
YSSは、実績のあるソフトなので、安心感がある。本番で、受けの強さを見せてほしい。ただ、相手が相手なので、つまり豊島七段が相手なので、穴を鋭く突かれて、あるいはジンワリと狙われて、苦戦に陥るかもしれない。できれば、このカードは両者がフルに力を出した将棋を見たい。
他は、前回出場のソフトなので、「じんわり強くなってるんだろうなあ」と思うだけ。注目点の一つは、事前貸し出しへの対策だが、そもそも対策の必要性ってどのくらいあるんだろうね。去年、阿部四段は本番と同じ持ち時間で20局も指していた。みんな驚いたが、逆に言えば目いっぱい頑張ってもそのくらいしかできない。
とか言うとさすがに乱暴すぎるな。実際、プロ棋士の棋力が高すぎてわからないんだけど。ただ、自分より強いコンピュータ将棋には、いくら事前に練習したって、そう簡単に勝てるもんじゃないとは思う。
そういえば入玉はどうだろう。ある程度の対策はされていると思うので、特に心配はしていないのだが、引き分けが現れる可能性はあって、勝敗予想をする上でそれが気になる。
持ち時間は前回と比べて、4時間のストップウォッチ方式から5時間のチェスクロック方式になった。コンピュータにとっては単純に1時間増えたことになる。一方、人間は純粋ノータイム指しをほとんどしないので、その半端な時間がカウントされると不利になる。そもそも、4時間という持ち時間は十分に長いので、持ち時間の増加が人間に有利とも言い切れない。ということで、持ち時間は増えたが、人間に有利になったとは思わない。
これらを総合して、プロ棋士側が前回比で+1.0勝くらいのイメージになる。すると2.5勝になるけど、引き分けはなさそうだなあとも思う。コンピュータが負け越すとは思いたくないので、やはりコンピュータ側の3勝2敗かな。
勝敗の意味で注目しているのは、豊島YSSとツツカナ森下。何かが起こりそうだ。将棋という意味では、差はあれど全局楽しみだ。勝敗予想をしていて思ったが、ルールが変わると予想が難しくなり、楽しみが増える。その意味で、主催者はいい仕事をしている。