ポケモン(6/10)

予告では、ミカンが出てくるというのも特大ポイントだったのだが、
まさかタケシのおねえさんセンサーが反応するようなトシだとは思わなかった。
ジムリーダーのミカンさんと、四天王のオーバとのバトルがベースになる贅沢な話。
ケンゴとサトシのバトル。「もしぼくが勝ったら、ぼくと一緒に旅をしてほしいんだ」
ヒカリにも、ケンゴが負けた方が気が楽という、逃げの気持ちがあったと思う。
もっとも、それはケンゴが自分を好きなのがどうとかじゃなく、
純粋にヒカリ自身の進むべき道を迷っているという困り方だ。
ひょっとしたら、ヒカリはケンゴと旅をすることを一種の「逃げ」と思っているかもしれない。
ケンゴは、サトシにバトルを申し込むが、試合を明日に延ばされる。
翌日のバトルでも、サトシはケンゴに対する油断があったから負けた。
ヒカリに「一緒に旅を」と言ったときも、はっきりした返事はもらえなかった。
ヒカリにとって、ケンゴの存在よりも、自分の悩みの方が重いということだ。
ケンゴもこれをわかった上で走り続けているわけで、やりきれない思いを感じさせる。
それを敏感に感じ取ってフォローを入れるのがタケシ。
サトシに慢心を諭し、悩めるヒカリを見守る。裏方に回ったときのタケシはすごい。
いや、表に出てバトルやコンテストしてもすごいんだけど。
ところで、オーバの、まず相手に攻めさせるバトルスタイルは、次の言葉を思い出させる。

目の前の一局のことだけを考えれば、時間を残して勝ったほうが余裕があるけど、長い目で見れば、そのときに考えたことがあとになって生きるということがある。

これは「イメージと読みの将棋観」の谷川だが、羽生も似たことを言っている。
オーバはポケモンを鍛えるためだと言っていたが、相手に先攻させるのは絶対に不利で、
今回のサトシのように単に相手の攻めを受け止めるだけなら「ない手」だろう。
しかしオーバは、相手の技や調子を見たり、相手の体力を奪う、自分側のリズムを作るなど、
高い技術を要し勝ちにくいが「有効である可能性がある」戦略として使っているはずだ。
ミカン、オーバ、ケンゴ、サトシ、ヒカリ、タケシ。
キャラの持ち味を存分に発揮させたサブタイトルだった。