NHK杯、渡辺・阿部健治郎

健治郎は去年のコンピュータ将棋選手権でいい解説をしていた。
色白で雰囲気がある。あのときと変わっていない。
対局前のインタビューでは、渡辺「新鋭の挑戦を私が受け止める」wwwww
もう相手を呑んで勝ってしまおうという感じか。
阿部は先手番が欲しかったらしいが、残念ながら後手に。横歩取りとなった。
渡辺が▲37桂とせずに玉を上がった(これは珍しい)ため、
その瞬間、阿部はやってみたかったという△86歩。
この辺りは感想戦で詳しく話されていたが、じつに難しい。
先手が「37桂38金の形に組むための、どういう順番で組むかという工夫」
▲37桂が入ると後手の△25歩などが利きにくくなるため、
本譜のように▲52玉を先にした形なら、後手はここで仕掛けたくなる。
はあ、横歩取りは苦手なんだよ。
タイトル戦とかで嫌というほど見せられたから多少は覚えたけど。
横歩取りが好きな人にとっては、今回の感想戦は堪らなく嬉しかったろうなあ。
さて、渡辺は▲37銀と上がる。
横歩取りで、銀が出て行って幸せになった例をあまり知らないので、
見ていてなかなかに面白い展開。
解説は木村一基。解説が面白いことで有名だが、今回も本当にいい解説。
手の直接的な狙いをバランスよく見せてくれる。
これだけ広く手を読んでいて、それでいて先の展開まで解説している。
まさに解説神。素晴らしい解説だった。
▲34歩が痛かったようだ。
阿部は、▲34歩を想定していなかった。見えるけど読まなかった。
▲34歩△同飛▲56角〜▲34歩で、桂が取れる形。△25桂が利かない。
ただ、見てるとこれ、いかにも先手薄そうなのだよね。
後手が飛車を切って△55角と打った局面とか、後手玉が堅すぎると思った。
実際には、後手玉が41にいるため、▲21飛や▲33歩成に対して当たりがきつい。
おそらく、▲34歩に△36歩と攻め合っても後手が負けるのだろう。
確かに、今は△45桂や△73桂がないので、戦力不足の感はある。
本譜は△37角成で、片側から攻める形となり、先手玉が安全になって終局。
短手数で渡辺の勝ち。渡辺はたまにこういう圧勝をする。
30分たっぷり感想戦の時間があるけど、充実の内容だった。
短手数で終わると大抵感想戦でダレるんだけど、今回は違った。
まあ、横歩取りなので研究課題はいくらでもあるんだろうけど。
渡辺の横歩取り講座になっていた。
あとでBonanza相手に後手側を持ってやってみたが、やっぱり勝てない。
33の地点を攻められると速いし、△52玉と逃げても今度は攻めが行かない。
先手玉を挟撃にするには攻め駒が足りないという感じだった。