電王戦いくつか

継ぎ盤

第4局を戦った森下九段の提案。人間のほうにだけヒューマンエラーがあるため、人間とコンピュータが戦うルールが必要。具体的には、秒読みを長くして盤駒を使って指すというもの。
個人的には、特別なルールが必要な理由がわからない。将棋というのは将棋でしかない。ヒューマンエラーがあるとしたらそれはその人間の責任だ。ルールを決めるとしたら、コンピュータだけで戦うか、アドバンスト将棋にするかといった部分だけだ(今年は、コンピュータだけで戦うのに近いルールだった)。
しかし、電王戦としては面白いと思う。人間側のミスで勝負が決まることが多いので、そのミスを防きたいということ。もっとも、現実に見た目や放送時間が大丈夫かという問題はある。
「プロ棋士のそんな姿は見たくない」という声もあるだろう。が、仮にこのルールが採用されたとして、今回のメンバーなら森下九段しか継ぎ盤を使わないと思う。もしも他の棋士が使ったとして、自分は「私が間違っていました」と思ってインタビューを楽しみにするだろう。

ソフトを提出して半年

第4局の開発者へのインタビューで印象に残ったのが「ソフトを提出して半年」という言葉。プロ棋士は対局日の直前まで準備できるのに、開発者は半年近く前に準備が終わっているというのが、観戦者から見て物悲しさを感じた。
これは楽しみの問題だが、やはり開発者もソフトと一体になって戦いに臨みたいだろうし(ここは妄想)、何よりそういう開発者とプロ棋士が対するところを見たいのだ。
事前提出変更不可というルール自体が悪いとは、今は思っていない。つまらない将棋ばかりになるという最悪の予想は外れた。最悪の予想が当たる確率は低いと思っていた。自分も同じソフトと何百回も指しているが、(最初の数局を過ぎると)それほど勝率は上がらないからだ(乱暴すぎる推測なので不安だった)。

第5局

ponanzaが後手番でどんな作戦を採るか、それが楽しみ。
電王トーナメントでは、後手番ばかりでしかも居飛車の力戦ばかりしかも全勝ということで、棋風はよくわからなかった。屋敷九段という強敵と当たって、癖のようなものがみえるかどうかも注目している。
去年は、コンピュータ側が勝敗という形で実力を示してほしいと願っていた。だが、すでにコンピュータ将棋はプロ棋士から一定の評価を得ているので、今はただ、いい将棋が観たいという気持ちだ。