第3回将棋電王戦まとめ

第2回電王戦の意味

去年は変わった将棋が多かった。また、プロ棋士が負けるたびに空気が重くなった。自分も、コンピュータ将棋に結果を出してほしいという気持ちが強くあった。
それから1年が経って、去年ほど空気が重くなることはなくなったし、自分も熱戦が見られれば結果はどちらでもいいと思うようになった。そして実際に熱戦が多かった。これはとてもいいことで、第2回電王戦の成果だと思う。

第3回電王戦の問題点

貸し出しについては議論の余地があるが、11月の時点で提出して変更不可というのは今回だけにしてもらいたい。終局後のインタビューを聞いても、開発者とソフトの一体感というものがなく、観戦者として楽しくなかったし、何より開発者の楽しさを奪ったと思う。
本当に大きい問題点は、対局会場だと思う。普段と全く違う場所での対局は、影響があると考えるべきだ。対局した棋士の感想に嘘はないと思うが、主催者に気を遣って言わなかったことがあるかもしれない。
特に最初の2局は広い場所だったし、第5局は将棋会館の特別対局室に舞台を設置して雰囲気が変わっていた。
トイレが遠いことは時間のロスになるし、心理的な負担になってもおかしくない。
もう一つ、対局開始時はともかく、休憩明けにも5分間の写真撮影がある。チェスクロック式だし、実質的に人間の持ち時間は去年と同じくらいしかなかったと思う。
「プロ棋士の集中力なめるな」と言われるならそれでいい。ただ、「プロ棋士の力を99%ではなく100%引き出すような舞台設定を考えよう」という気持ちは感じられなかった。

勝敗予想

コンピュータの3勝2敗と予想したが、実際は4勝1敗だった。第1局と第2局で対抗形になったのが大きい。
予想が当たるかどうかは運次第だが、終わってみるとやはりコンピュータが勝ち越す確率のほうが高かったなと思う。ただ、プロ棋士側が勝ち越しても全くおかしくなかった。その程度の差だろう。
事前貸し出しはプロ棋士側の勝率を上げたと思うが、それほど大きな(変な)影響はなかったように見える。これも想定内のことではあるが、よかったと思う。

勝敗について

プロ棋士側から見て1勝4敗というのは酷い数字だ。この数字がどこかで一人歩きを初めないか心配だ。杞憂で終わる可能性が高いとは思っているけど。
結果的にミスの少ないコンピュータ側が勝つ場合が多いというだけで、まだ実力差があるという感じではない。コンピュータの性能もほとんど伸びていないので、ソフトの改良とプロ棋士の成長がけっこういい勝負だったりするんじゃないだろうか(期待)。

小ネタ

評価値が103や123になると盛り上がる謎集団。
なぜかソフトにさん付けするプロ棋士

各局の戦型

コンピュータに対しては、先手番なら角換わり・横歩取り・相振り飛車のどれかに誘導するのが有力そう(そしてほぼ誘導できる)。後手番だと何をすればいいんだろう(これは通常の公式戦と同じ悩みか)。
第1局 ▲菅井五段△習甦 先手中飛車
第2局 ▲やねうら王△佐藤六段 四間飛車
第3局 ▲豊島七段△YSS 横歩取り
第4局 ▲ツツカナ△森下九段 相矢倉
第5局 ▲屋敷九段△ponanza 横歩取り