NHK杯、藤井丸山戦

面白い。
年に何回も見られない藤井先生の対局だが、
一手得する序盤、攻めをつなげる中盤、わかりやすい木村解説と、
ほんとに滅多に見られない面白さだった。
しかし、最後は急転直下。うまそうな飛車打ちだったが、馬の利きに香があった。
ああ、今年はもう一回NHK杯で見られると思っていたのに。
79手目の▲33歩成で嫌な感じはしていた。
拠点を捨ててまでして後手の42銀と銀交換し、しかも後手玉が上部に出てくる。
しかし駒得で攻めているし、解説の木村八段も先手がいいと言っていたので、
藤井勝ちを期待しながら見ていた。
▲53角成も、△44銀と受けられて手番を渡すのが嫌だと思った。
そして△86桂。藤井先生は矢倉の終盤をまだよく知らないのではないだろうか。
この桂打ちはよくある筋ですよ。馬と竜を作らせたら入玉阻止が大変ですよ。
今回、「藤井先生強い!」と思ったのは、他の雲の上のプロと違って(棋力的な意味で)身近に感じていたからかもしれない。
木村八段の解説はとてもよかった。自分が思いつく程度の手がダメな場合のその理由や、
数個の候補手の狙い筋と落とし穴などを、わかりやすく見せてくれる。
これも「強い!」と思わせた要素。
あと、今更だが、今回の▲76歩△34歩▲66歩△84歩というノーマル四間飛車の出だしは、
▲76歩△84歩▲68銀△34歩からの通常の矢倉と同一局面にする権利が先手にあるのだね。
恥ずかしながら、この対局を見て初めて認識。