竜王戦七番勝負第1局

封じ手の段階では、やや先手持ちという空気だった。
気になったのは、先手陣の7筋が壁なのに対し、後手玉はいくらでも右に逃げられること。
後手71の銀が取り残されていて、そちらへ逃げこんでも薄そうではあるが、
いかにも羽生がそういうことを主張にしそうだと思っていた。
が、先手は▲56香から▲53香成とし、後手も△23金と打って、
単に後手玉が右へ逃げる展開はなくなった。
この▲56香は、本局唯一と言っていい、GPS将棋と渡辺竜王が食い違った手。
GPS将棋は▲28香と読んでいた。
うーん、せめて自分があとR1000かR2000くらい強かったら色々見えるんだろうけどな。
こういう相居飛車中終盤の感覚は全然わからないなぁ。
「こういうのこそ将棋だ」と強く思い憧れるが、
ルールしか知らなかった頃に将棋をやったときの
「時間を与えられても何を考えていいかわからないよ」という感覚を思い出すくらい、
手が見えなくて、まさに下手の考え休むに似たり。
最も印象に残ったのは83手目▲71竜。
どういう準備をしてどういう考え方をすればこの手を選択できるのか。
想像を絶する強さだ。