NHK杯、深浦・門倉

NHK杯記録係の門倉が去年四段となり、ついにNHK杯に対戦者として現れた。
ピシっと駒を並べる。やる気ありそうだ。
「斬新なアイデアを持っている」「自分らしい面白い将棋を」
深浦が先手。▲26歩。門倉は振り飛車党か。当然の△34歩。
ここで▲25歩!ゴキゲン中飛車を避けてきた。
それに対し門倉は角道を止めて、ノーマル三間対居飛穴の形に。
深浦はけっこう、対振り苦手な感じなので、これはワンチャンあるかも。
なんて思ってたら△72銀。藤井システムの三間版を久保がやってたのを思い出す。
△54銀〜△65銀!△73銀〜△64銀!いやあ、やばすぎる二枚銀だ。
ただし、すぐの△75歩は、▲24歩△同歩▲25歩があって無理らしい。
飛車を再び居飛車に振り戻すなど、夢のある構想だが、どうも一手ずつ足りない感じ。
△85歩に▲68角と引き、△82飛に▲77金が手厚い。
▲58金と上がり、上部が過剰なまでに厚くなった。
深浦は感想戦で「苦い思い出しかない」と言っていた。
たしか深浦は藤井の藤井システムにけっこうやられてるんだよね。
角の利きを生かして執拗に攻められる怖さが身にしみてわかっているのだろう。
ここからも、門倉の食いつきはすさまじく、見ていて面白かった。
相手が俺だったら吹き飛ばされていたであろう筋が、ガンガン飛んでくる。
△32飛▲56歩△75歩とか、穴熊に飛車交換を挑んで拒否させる△36歩とか。
1回叩いたから生じる飛車切りもすごかったなあ。
しかし△86歩に、銀を見捨てて▲同角が冷静で、▲32とが回っては勝負あった。
いやー。惜しかった、とは言えないくらい最後は差が付いていたけど、
インタビューで言っていた「自分らしい面白い将棋を」というのは
ある程度見せてもらえたと思う。