2012年10月3日 五番勝負 第4局 渡辺明王座 対 羽生善治三冠|第60期王座戦
羽生の2勝1敗で迎える第4局。ここで羽生が後手番を取れば、王座奪還となる。
そのタイミングで羽生は2手目32飛戦法を採用。ノーマル四間より意外だった。
渡辺は大人しく進めて左美濃に。▲87玉を見て、羽生は△44歩と止める。
ほんとに普通の左美濃。居飛車は4枚で固めているが、振り飛車は6筋の位を取る。
先手でこれでは面白くない気がする。羽生や渡辺が何を考えているのか、知りたい。
渡辺は角を転換して玉頭戦に持ち込んだ。
先手は位を取り返し、後手の銀角飛がいまいち。
手筋の△46歩。▲同角が普通だと思うのだが、渡辺は▲同歩。
これは相当やりにくいはずだが、じっくりと。▲同角で負けなら仕方ないと思うけど。
後手は銀角がさばけて気分がいい。飛車付き銀冠が堅く、7筋の位が大きすぎる。
そしてやって来る△33桂!
先手玉が7筋の脅威から逃げている間に、振り飛車の左桂がさばけた。うおおおお!!
ところで、もうみんな、オープニングが32飛だったことなど忘れている。
渡辺も、決して離されない。凄まじく難解な終盤。これが将棋の終盤だ。
後手有利から、先手もやれそうという空気に変わってきたそのとき、△66銀。
只の銀に見えるが、放置すれば先手玉は詰むし、後手玉の詰みも消えている。
詰めろ逃れの詰めろだ。後手玉の詰み手順中、▲66桂を消している。
「敵の打ちたいところに打て」という手だ。しかも詰めろなので手抜けない。
この銀を、渡辺は、取った。後手玉にかかっていた詰めろは消えた。
そこで後手から△89金の詰めろが来る。先手は▲78飛と受ける。……。
千日手。
最終局が見たい渡辺ファンとしては少なからず落胆したが、千日手は好きだ。
30分後に指し直しとなった。余韻を楽しんだあと、急いで風呂に入った。