米長会長の心が読めない

今回は無料のネット中継がなかった。
お金が欲しいからそうした、というのであれば特に問題はない。
もっと儲かる値段設定があったとか、今はファンを増やすために無料にするべきとか、
ちゃんと観戦人数を予想してサーバを強化しておくべきとか、
色々問題はあったかもしれないが、それは単なるミスであり、これから改善していけばいい。
ただ、気になるのは、「お前ら気に入らないから見せてやらない」とか、
「無料にしたら威厳を保てない」とかの思いが混じってはいないかということ。

米長邦雄日本将棋連盟会長「どちらが勝ってもおかしくない内容だったが、清水さんが時間のペース配分を間違ったようだ。コンピューターと男性プロ棋士との対局は、次回には全く考えていない。清水さんとの再戦がフェアでいい」

清水女流王将が最先端システム「あから2010」に敗れる:将棋:レジャー:スポーツ報知

つかみどころのないコメントだ。
時間の配分を間違わなければ勝てたと言いたいようだが、
本気でそう思っているのか、何かの理由で嘘を言っているのか、わからない。
次に男性プロを出さないことは、今回の対局前に決めていたのだろうけど、
そのことは、単に言う機会がなかったのか、理由があって隠していたのか、わからない。
「フェアでいい」というのは、かなりムカつく言い方。これはコンピュータ側のセリフだ。
「清水市代女流王将VSあから2010」の世の中の反響など | 将棋ペンクラブログ
「コンピュータソフトが強いのはわかるが、プロ棋士に勝って誰が得をするのだろう」
この記事はかなり意外だった。
ていうか2ちゃんねるの煽り以外でこんなことを書く人が存在するとは思わなかった。
まさに「時代遅れ」というか、住んでる世界が違いすぎて理解ができない。
コンピュータに負けたからって、プロ棋士の強さは変わらない。
むしろ、強い相手から手を学んだり刺激を受けたりして、強くなると思う。
10年後の地球で、プロより強いコンピュータ将棋が存在していたとして、
それと戦えばファンの夢を奪い、逃げていればファンに夢を与え続けられると思うのか?
仮に、コンピュータが名人に対して勝率8割になったとして、
どちらかにインターネット越し(話せない)の指導対局を受けられるとしたら、
どちらを希望する人が多いと思う。当然名人だろう。
この人どんだけプロ棋士の魅力なめてんの?
そりゃあ、コンピュータのほうに惹かれる人たちも一定数は存在するだろうけど、
そういう人たちまで繋ぎとめようとするのは、
それこそ人力車をひく人が自動車メーカーを逆恨みするレベルで、話にならない。
清水女流王将は、あからの指し手で読み筋でなかったのは△57角だけだと言っていたが、
この他にも、具体的にあからのここが強かったなどのコメントは見つからなかった。
負けて、相手を讃えることもなく、反省の弁もなく、
将棋界でそんなタイトル戦見たことないよ。
NHK杯で藤井に序盤で大差を付けられ負けた棋士が、
「▲15歩以外は読み筋でした。どれだけ藤井さんの将棋を研究したと思ってるんですか」
とか言ったら変でしょ。じゃあ勝てよと。
正直、今回の将棋連盟を見て、本当に落胆した。残念な気持ちになった。
コンピュータ将棋に対してよくない感情を持っている人がプロ棋士では多数派で、
それでもみんな大人の対応で一定の協力をしてくれている、そういうことなの?
コンピュータ側が、「たぶん勝つし、絶対に負けられない勝負」を続けるのは、
何だか不毛な感じがして。
もし清水再戦があれば、捨て身で弱点を突いて勝ちにこだわる気概を持って臨んでほしい。
今回負けたのに、なお勝つことを目的とできないなら、
それはプロの態度ではないし、うわべだけの付き合いだったということだ。