NHK杯、野月深浦戦

後手深浦が一手損角換わりを選択し、先手が攻めて後手が受ける展開が予想された。
ところが実際には相腰掛け銀のじっくりした戦いになり、
△33金型を得た後手陣が当たりを避けて堅く、ペースを握ったかに見えた。
屈服した形の先手陣に対し、後手は考慮時間を使って決めに行く攻めを決行。*1
しかし先手陣は意外と上部に厚くなっていて、金を取らせて玉が逃げ出した。
いくら後手があきらめの悪い深浦と言っても、これは辛いだろうと思った。
野月は、狭いながらも玉の道を作って上部へ進んでいく。
が、深浦の執念は予想以上だった。
△71香から、成銀の利きへ逃げて先手玉を抑える△82飛!
ゴチャゴチャした局面ではないのだが、後手は入玉を許せば即負け、
先手も中段玉ながら道は狭く、詰まされれば当然ながら即負け。
異空間に迷い込んだような戦いだった。
野月は序盤それなりに時間を使っていたものの、ここで3分の考慮時間が残っていた。
これは大きい。その貴重な時間を1分ずつ使い、着手を重ねていく。
入れそうなのに、ギリギリ入れない形を築く深浦もすごいし、
狭い中で希望の道を用意して駒を蓄える野月もすごい。
最後は△46銀という、よくわからんけど切れ味鋭そうな手で深浦勝ち。
ほんの数分でも感想戦の時間があってよかった。
次回は豊川・丸山。胸が厚くなりそうな対戦だ。

*1:すごい重複表現だな