NHK杯、羽生・勝又

解説は藤井九段。予想通りの相居飛車。後手の勝又六段は一手損角換わりを選択。
堅い先手玉に、飛先突破ができそうな後手という、わかりやすく面白い展開。
▲16歩と手を渡して強制的に相手に行動させるところや、
2筋の突き捨てから淀みなく手を進める辺りが羽生名人らしいと思う。
しかし、△54角成や△13桂が入って、後手もやれそうな形に。
が、△33銀打から△45馬が変調を思わせる手で、先手の攻めがつながり始める。
▲86歩の桂取りが回ってきたときには、これで先手が完封するのかと思った。
竜取りの状態で打った▲54桂が、竜取られそうなのにめちゃくちゃ厳しい。
この桂が、▲44桂打だけでなく、6筋への攻めも見ているのが恐ろしい。
そして、攻防の▲64角で決まったかと思われたが、
後手玉は非常にきわどいところで逃げ続け、
入玉を防ぐ▲27歩に、いよいよ反撃の手番が回ってきた。
△56飛が、藤井九段絶賛の手だったが、▲26銀を打たせたのがまずかった。
先手玉は詰めろ、後手玉は打ち歩詰め、一見すると後手の勝ちだが、
▲86玉と香を取った手が詰めろ逃れの詰めろ。
面白かった。勝又六段は、指し手も態度も人間臭い。
羽生名人の手は常に自然というか地味で本筋っぽいのだけど、
やはり指し手は相手の動きに応じて決まるもの。
中終盤を見ていても、けっこう自分の予想手が当たる。
そしてそれに対してプロの解答が示されていくので、楽しかった。