NHK杯、阿部光瑠・村山

電王戦で全国区の人気となった阿部光瑠、そして「序盤は村山に聞け」の村山慈明。後手となった阿部は、ノーマル四間飛車を採用!
△52飛〜△55歩で戦いが始まった。このとき、△94歩は入っていない。ちょっと信じられないのだが、このとてつもなく大きい△94歩を入れる時間がないらしい。よりにもよって省略する一手が△94歩なんだから、将棋はわからない。
阿部は△24歩とこちらから。村山は手抜いて中央から攻める。飛車交換になり、穴熊なぶん先手が勝ちやすそうな分かれ。ところで、先手は歩切れだ。電王戦で、人間が歩切れになることが多かったのを思い出す。
阿部は、丁寧に受けつつ、穴熊へしつこく食らいつく。飛車角を切って、銀で絡みつく。飛車角桂は穴熊の再構築に使えない。
先手玉は二手スキ。村山は後手玉に詰めろで迫るが、▲52香成で詰めろが途切れた。ここで阿部は△57角。先手玉に詰めろがかかった。▲71角〜▲93角成のような筋に対しても、より安全になっている。詰めろを続けて後手勝ちと思われたが……
△94歩と桂馬を取った手が、詰めろではなかった。時間の使い方を見ると、阿部は何回か王手をしてから気づいている。詰ましに行って詰まなかったら負けだ。
解説は中村太地。以前解説をしたときより、面白くなっていた。手がよく見えて、ちょっと羽生っぽい。最後、少し歯切れの悪い解説になっていたが、あれは阿部が詰むと言っていたのに詰みが見えなかったからだろう。実際詰みはなかったので、俺の中で中村解説の信頼度が上がった。