静電気

一時期、物を買うのが怖かった。

靴のせいなのか、体質や服のせいなのか、歩き方のせいなのか、
とにかく静電気がよく溜まった(幸い今はそうでもない)。

レジでお釣りをもらうとき、手が(ほんのちょっとでも)触れることは多い。
そのとき、自分に静電気があっても、レジの人にあってもアウトだ。
静電気がバチッと来てお金を落としたこともあったし、
静電気を恐れるだけでお金を落としてしまうこともあった。
お釣りはぶっきらぼうに手へ落として欲しいといつも思っていた。
手渡しせず、お釣りとレシートを置いて渡すのは素晴らしいと思った。

静電気とは、ただただ恐怖である。
鍵でドアノブを引っかいてなお素手でドアに触れることができない。
恐怖は理屈ではないということがよくわかる。