第3回将棋電王戦、第2局と第3局、そして第4局へ

第2局は、当日午後2時くらいまで見ていた。昨日その残りを見て、第3局の午前中も見た。今日は第3局の残りとNHK杯決勝(決勝以外はテレビで見ていた)。
第3局を見ていて、タイムシフトでの観戦は終局時刻がわかってしまってよくないと気づいた。NHK杯のブログ記事を先に書いたのは、最後に見たからだけど、スタックのようにきちんと取り出せるかというとアレ。

第2局

けっこう最近になって開発者へ「27点法から24点法への修正」の話があったということで、これはずいぶんだと思った。電王トーナメントが27点法だったことを自分が意識していなかったというのも、観戦者としての自分の反省点だ。そのくらいは調べてあるつもりだった。
将棋は、やねうら王の初手▲16歩からノーマル四間に。後手の佐藤六段は居飛車穴熊。後手の仕掛けからしばらく進んで50手目の局面、先手は桂損だが後手の穴熊に傷を作り歩切れにもさせている。コンピュータらしい展開になった。
そこで▲64歩がびっくりの手。歩切れの相手に歩を渡すので、普通は読まない手。パッと見、大戦果を挙げられそうな手にも見えない。しかし、だんだんと解説の木村八段のトーンが変わってくる。自分も、これはさすがに疑問手だと思っていたので、解説を聞きながら電王戦の面白さを感じていた。
後手にミスがあって形勢は大きく傾いたが、70手目に角と飛を香車で田楽刺しにされたところで、やねうら王が▲31角成と切れないことに気づいて予定変更の▲25飛。先手は大きなミスをしたが、ミスの直後冷静に▲25飛〜▲48金引と指せることは本当に大きい。
結果はやねうら王の勝ちだったが、本番が1局しかないというのは恐ろしいことだなあと思った。
コンピュータ将棋は確かに強い。だが、電王戦はプロ棋士、特に木村の存在なくしては成立しないと強く思った。

第3局

角換わり模様から、先手の豊島七段が横歩取りに誘導(後手のYSSは相掛かりにもできた)。YSSが定跡から外れるタイミングで豊島七段が席を立った。今回の豊島七段は、非情なまでに相手を知って、合理的に行動している。
YSSの△62玉に対し、先手は角交換から▲21角。これは自分もコンピュータ相手に横歩取りを指して食らったことがある筋。居玉ではだめで、△41玉か△52玉の一手が必要になる。横歩取りを指すなら必修の有名な筋だ。しかしYSSは△62玉。
表示されている去年のponanzaの評価値が、一気に先手に傾く。だが、決して簡単ではないらしい。タイムシフトで見ていたので、終局が早いことはわかっている。ただ、横歩取りなのでどちらが勝っても早い終局なのかな、とも思っていた。
さて、豊島七段の指し手がとにかく早い。研究済みの局面は当然としても、そこを外れてからも指す手が決まっていればすぐに指して、相手の手を見てから考えるというスタイルだった。勝負にこだわるという話は聞いていたが、コンピュータ劣勢の状態で豊島七段にこれをやられると、勝てる気がしない。
一方的な将棋になってYSSが負けたように見えるが、豊島七段の棋力が高いからこうなったのだと思う。YSSが少しずつ損をして、豊島七段が少しずつ得を重ねていったという感じだった。
電王戦としてはつまらなかった。
今回は▲76歩△84歩の出だしだったのでYSSの居飛車が決定していたが、▲76歩△34歩なら▲96歩で様子を見て、相居飛車か相振り飛車にするという作戦があったらしい。今回の電王戦は、ここまでコンピュータ側が対抗型で2勝していたが、コンピュータの対抗型がここまで恐れられているとは驚いた。
豊島七段が「中終盤をものすごく重視するようになった」と言っていた。コンピュータ対策は、序盤が長い将棋と、中盤を通り越して終盤になる将棋。中盤が人間より強いという評価だった。

第4局へ

豊島七段も、YSSと指すことによって自分の将棋がいい方向に変わっている、というようなことを言われていたが、森下九段も好調だということでファンとしてはそれだけでも非常に嬉しい。
第3回電王戦が始まる前、第3局と第4局のうち少なくとも1局は番狂わせが起こると思っていた。つまり、豊島七段は人気も実力も高く、多くの人が豊島勝ちを予想していたし、ツツカナも同様だったが、何かが起こるような気がしていたのだ。第3局は豊島勝ちとなったので、第4局で予想が当たってほしい。
森下先生、応援しています。