え、むしろ普通の手じゃん

「俺の邪悪なメモ」跡地
この手、当時すごく騒がれてたと思う。
驚いた人が発言するから、というのはあるにしても、
控え室もTwitter2ちゃんねるも「は???!何これ」という感じだった。
しかし、自分は特に驚かなかった。
この手で後手が大丈夫だと読めていたわけでは全くないが、
羽生が△36歩をやるなら有力なのだろうと思った。
△36歩は、低級同士の戦いでいかにもありそうな手なのだ。
角を取ったら急所にと金を作るぞと脅しているわけで、かなり嫌らしい。
仮に角を取ると、相手の戦力は角を失ってと金を得たのでほぼ変わらず。
こちらの戦力は、角を取ったぶん大きく増している。
だから駒割としては先手が得をするのだが、差し迫ったと金の存在はあまりにも大きい。
▲61角の王手飛車はあるものの、純粋王手飛車ではない(後手は駒損しない)。
ちなみに自分が後手を持っていたら、
△36歩▲49金△37歩成▲61角△63玉▲72角成△同玉▲71飛で、
ちょっと二枚飛車に対する自信がないので、△58角成▲同歩△41桂を選ぶと思う。
また、▲81竜と入るのは、飛車を一旦逃げておいて、5筋の位と金銀3枚がいかにも寄せにくい。
先手は、後手の陣形に対して持ち駒が貧弱すぎるのだ。
もちろん▲36同歩は酷い利かされ(37に空きができて歩の攻めも来る)で、考えたくもない。
というわけで、△36歩は自分にとってやられたら嫌な手なのだ。
それを羽生が指してるんだから、後手玉は▲81竜や▲61角では寄らないのだろうし、
と金を拠点とした攻めも厳しいことを読んであるに決まっている。
だから、驚かなかった。なぜみんな驚いているのかわからなかった。
竜王戦中継plus : 驚愕の一手、△3六歩
つまり、この局面で先手の持ち駒に角が加わったら後手玉に対して詰めろが続く、
というのが強い人の感覚であるらしい。
確かにそれなら△36歩はあり得ない手だ。
でもなあ。△58角成▲同歩の局面は先手玉に手がかりがないうえ竜も守りに利いている。
後手玉さえ寄らないなら、ここで△36歩は(見えていれば)絶対にやりたい手なんだよ。
だってパッと見、54の地点へ逃げ込まれるのをどう阻止したらいいかわかんないじゃん。
クソッ。強いやつらばかり感動しやがって。