椅子に座って検討
プロ棋士は、年をとっても続けることができる職業なので、早く椅子対局を導入してほしい。50年後に「21世紀になってもまだ椅子で対局できなかったの!?」と言われるのが容易に想像できる。気力と棋力があるのに、(若くても)体力的な問題で活躍できない棋士は、活躍できないから目立たないだけでたくさんいる(いた)と思う。本当にもったいない。
手番
今回のリベンジマッチも手番を変えない。前回との一貫性があるので、これでいいんだけど、観ている側としては電王戦本番とは手番を入れ替えてくれると嬉しい。
見てみたい
ツツカナが▲94歩という謎な手を指した。ここで人間の大きな弱点を感じた。盤上の最善手とは別に、△同香と取ったら先手に何のメリットがあるのか聞きたいという欲求が出てくる。コンピュータは勝つことのみを目的とできるが、人間はそうじゃないのだ。こう対応したら何をしてくるのか「見てみたい」(勝ちを目指す対局中なのに!)という気持ちは、ニコ生を観ていた多くの人が共感したのではないだろうか。
10分
菅井五段はこの1/10の時間で指していたのか、と思った。10分は短いが、1分よりははるかにいい。ただ、両者が1手10分で指すと120手で20時間かかる。180手(長いけど普通にある手数)なら30時間なので、この条件の対局は本当に大変だ。今回は休憩も多めに入っていたので更に長くなる。
指し掛け
午前5時を過ぎて、立会人が出てきて指し掛けとなった(自分は午前3時半くらいまで見て寝た)。スタッフがこの展開を想定していなかったらしい。「120手でも20時間かかるって計算しなかったの?バカなの?」というのは結果論で、想定できないのは仕方ないと思う。事前にやったら17時間だったとか言ってたし、序盤で差が付くとか中盤でミスが出て終わるとかしたら早く終わりそうだ。
確かに想定は甘かったが、こうなってしまったら指し掛けは好判断だったと思う。封じ手という演出もよい(ツツカナの電源を入れたまま放置するなら本当の封じ手だけど、さすがにそこまで長時間の先読みは想定外だろう)(通常の封じ手なら指し手を知っているのは森下九段だけだが、この場合は知らないのがツツカナだけということになる)。しかし、対局者が立会人や解説者と将棋の内容について話していたのはいただけない。形勢についてのヒントを得てしまう。もちろん、プロから見れば明らかなことだから話していたんだろうけど、「だからやっていい」のか?
ルール
ルールの欠陥は、始まる前に指摘するようにしたい。トラブルがあったとき、後から「このくらいの事態は当然想定できたろうに」とか言うのはかっこ悪い。
人間の弱点
今回新たに、人間は眠らなければならないという弱点が発覚した。本当に弱点が多い。これは電王戦がなければ考えもしなかったことだ。
これが人間の棋力だ。弱点があるということは、弱いということだ。弱いということでしかない。人間対コンピュータの適切なルールについては議論の余地があるけど、ルールを変えれば弱点が消える、なんてことはない。人間もコンピュータも、長所があって短所がある、それだけだ。